国年(総則)

 次の記述のうち正しいものには○、誤っているものには×をつけなさい。


 1.(   )



国民年金制度は、日本国憲法第二十五条第二項 に規定する理念に基き、老齢、障害又は死亡によって国民生活の安定がそこなわれることを国民の共同連帯によって防止し、もって健全な国民生活の維持及び向上に寄与することを目的とする。
 
 2.(   )

国民年金は、国民の老齢、障害又は死亡に関して必要な保険給付を行う。
 
 3.(   )




国民年金事業は、政府が、管掌し、事務の一部を、政令の定めるところにより、法律によって組織された共済組合、国家公務員共済組合連合会、全国市町村職員共済組合連合会、地方公務員共済組合連合会又は日本私立学校振興・共済事業団、市町村長(特別区の区長を含む。)に委任することができる。
 
 4.(   )
 
 
年金額は、国民の生活水準その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情に応ずるため、速やかに改定の措置が講ぜられるよう努めなければならない。
 
 5.(   )


国民年金事業の財政は、恒久的にその均衡が保たれたものでなければならず、著しくその均衡を失すると見込まれる場合には、速やかに所要の措置が講ぜられなければならない。
 



 重要解説

 1. ○
  目的条文は、選択式で問われることが多いですが、いつ、どこから出てもおかしくありません。
国年に限らず丸暗記するくらいのつもりで叩き込みましょう!過去の出題例では、「日本国憲法第二十五条第二項」のところが、「日本国憲法第二十五条第一項」となっていて、いわゆるひっかけを誘うものがありました。
 
 
 2. ×
  「必要な保険給付を行う」のところが誤り。正しくは「必要な給付を行う」です。「保険給付」と「給付」の違いですね。
そもそも保険とは、あらかじめ決めてある保険事故(国年では、老齢、障害、死亡)に備え、保険料を払っておいて、実際に、保険事故が起きたときに、金銭(健保の「療養の給付」など現物(治療)のこともあります。)を受けるものです。簡単に言うと、保険料→保険事故→保険給付という流れですが、国年では、第3号被害保険者のように、保険料なし→保険事故→保険給付というパターンがあります。自分では、保険料を負担しないのに、保険料を支払ったことにして、給付は受ける。これは、保険原理(保険料→保険事故→保険給付)とは違うので、国年法では、「給付」という用語を使っています。ちなみに、厚年では「保険給付」です。法律名も「国民年金法」と「厚生年金保険法」と違いますね。
 
 3. ○
  委任先の具体名は覚えるとして、ここのポイントは、
(1)国民年金事業は政府が管掌していること。
(2)事務の「全部又は一部」ではなく、「一部」を委任できること(ひっかけ注意!)。
(3)委任にあたっては、「政令の定め」が必要なこと。
を理解しておきましょう。
なお、市町村長に含まれている「特別区の区長」というのは、具体的には、東京23区の区長のことです。
 
 4. ×
  「速やかに改定の措置が講ぜられるよう努めなければならない。」のところが誤り。正しくは、「速やかに改定の措置が講ぜられなければならない。」です。
この手の言い回しには、「・・・してはならない。」(禁止規定)、「・・・しなければならない。」(義務規定)、「・・・するように努めなければならない。」(努力義務規定)「・・・するように努めるものとする。」(努力規定)といったものがありますが、この違いが出題されることがあります。もっとも、基本テキストの精読を通じて、何となくわかってくるようになってきますが、意識しておいた方がいいかもしれません。
 
 5. ×
  「恒久的に」のところが誤り。正しくは「長期的」にです。
国民年金事業の財政は、長期的な均衡が義務づけられています(有限均衡方式)。平成16年改正において保険料水準固定方式が導入され、原則として5年ごとに行っていた保険料水準等の見直す財政再計算は廃止されました。ただし、定期的(原則として5年ごと)に、その時点での長期的な財政収支の見通しを作成し、給付水準調整の必要性などを検証することになっています。
なお、有限均衡方式というのは、年金財政計算上、既に生れている世代が概ね年金受給を終えるまで(要は、生まれてから死ぬまで)を約100年間と仮定し、この約100年間を財政均衡期間として捉え、この期間について給付と負担の均衡を図るものです。