保険料の免除・納付猶予


 
国民年金の第1号被保険者は、20歳から60歳になるまでの40年間、定額の保険料を納めるこ
 ととなります。長期間にわたることから、途中で経済的な事情で保険料を納付することが困難な
 場合が出てきてもおかしくありません。そこで、法律で定められた要件(生活保護・障害基礎年金
 の受給者など)に該当したとき、所得が基準より少ないとき、失業・災害に罹災し保険料を納付す
 ることが困難なときなど、被保険者本人からの届や申請により納付義務を免除することにし、所
 得が基準より少ない学生や若年者には申請により納付を猶予することにしています。
 免除制度は「法定免除制度」と「申請免除(4段階)制度」があり、納付猶予制度には、「学生納付
 特例制度」と「納付猶予制度」があります。
 注意したいのは、任意加入被保険者ですが、これは本人の希望により加入しているので、保険
 料免除や納付猶予の適用を受けることはできません。


 条文
法定免除(第89条)
 

 
被保険者(4分の3免除、半額免除、4分の1免除の適用を受ける被保険者を除く。)が
 次の各号のいずれかに該当するに至ったときは、その該当するに至った日の属する月
 の前月からこれに該当しなくなる日の属する月までの期間に係る保険料は、既に納付
 されたものを除き、納付することを要しない。

 @ 障害基礎年金又は厚生年金保険法に基づく障害を支給事由とする年金たる給付
    その他の障害を支給事由とする給付であって政令で定めるものの受給権者(最後
    に厚生年金保険法の障害等級に該当しなくなった日から起算して障害状態に該当
    することなく3年を経過した障害基礎年金の受給権者(現に障害状態に該当しない
    者に限る。)その他の政令で定める者を除く。)であるとき。

 A 生活保護法による生活扶助その他の援助であって厚生労働省令で定めるものを
    受けるとき。

 B 前2号に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める施設に入所しているとき。

 
全額免除 (第90条)
 

 
次の各号のいずれかに該当する被保険者又は被保険者であった者以下「被保険者等」
 という。)から申請があったときは、厚生労働大臣は、その指定する期間(4分の3免除、
 半額免除、4分の1免除の適用を受ける期間又は学校教育法に規定する高等学校の
 生徒、大学の学生その他の生徒若しくは学生であって政令で定めるもの(以下「学生
 等」という。)である期間若しくは学生等であった期間を除く。)に係る保険料につき、既
 に納付されたものを除き、これを納付することを要しないものとし、申請のあった日以
 後、当該保険料に係る期間を保険料全額免除期間(追納が行われた場合にあっては、
 当該追納に係る期間を除く。)に算入することができる。
 ただし、世帯主又は配偶者のいずれかが次の各号のいずれにも該当しないときは、こ
 の限りでない。

 @ 前年の所得(1月から厚生労働省令で定める月までの月分の保険料については、
    前々年の所得とする。以下この章において同じ。)が、その者の扶養親族等の有無
    及び数に応じて、政令で定める額以下であるとき。

 A 被保険者又は被保険者の属する世帯の他の世帯員が生活保護法 による生活扶
    助以外の扶助その他の援助であって厚生労働省令で定めるものを受けるとき。

 B 地方税法に定める障害者であって、前年の所得が政令で定める額以下であるとき。

 C 地方税法 に定める寡婦であって、前年の所得が前号に規定する政令で定める額
    以下であるとき。

 D 保険料を納付することが著しく困難である場合として天災その他の厚生労働省令
    で定める事由があるとき。

 
4分の3免除 (第90条の2第1項)
 


 次の各号のいずれかに該当する被保険者等から申請があった
ときは、厚生労働大臣
 は、その指定する期間(申請全額免除、半額免除、4分の1免除の適用を受ける期間
 又は学生等である期間若しくは学生等であった期間を除く。)に係る保険料につき、
 既に納付されたものを除き、その4分の3を納付することを要しないものとし、申請の
 あった日以後、当該保険料に係る期間を保険料4分の3免除期間(追納が行われた
 場合にあっては、当該追納に係る期間を除く。)に算入することができる。
 ただし、世帯主又は配偶者のいずれかが次の各号のいずれにも該当しないときは、こ
 の限りでない。

 @ 前年の所得が、その者の扶養親族等の有無及び数に応じて、政令で定める額以
    下であるとき。

 A 次に該当するとき。
  ・ 被保険者又は被保険者の属する世帯の他の世帯員が生活保護法による生活扶
    助以外の扶助その他の援助であって厚生労働省令で定めるものを受けるとき。
  ・ 地方税法に定める障害者であって、前年の所得が政令で定める額以下であるとき。
  ・ 地方税法に定める寡婦であって、前年の所得が前号に規定する政令で定める額
    以下であるとき。

 B 保険料を納付することが著しく困難である場合として天災その他の厚生労働省令
    で定める事由があるとき。

 
半額免除 (第90条の2第2項)
 


 次の各号のいずれかに該当する被保険者等から申請があったときは、厚生労働大臣
 は、その指定する期間(申請全額免除、4分の3免除、4分の1免除の規定の適用を
 受ける期間又は学生等である期間若しくは学生等であった期間を除く。)に係る保険
 料につき、既に納付されたものを除き、その半額を納付することを要し
ないものとし、
 申請のあった日以後、当該保険料に係る期間を保険料半額免除期間(追納が行われ
 た場合にあっては、当該追納に係る期間を除く。)に算入することができる。
 ただし、世帯主又は配偶者のいずれかが次の各号のいずれにも該当しないときは、こ
 の限りでない。

 @ 前年の所得が、その者の扶養親族等の有無及び数に応じて、政令で定める額以
    下であるとき。

 A 次に該当するとき。
  ・ 被保険者又は被保険者の属する世帯の他の世帯員が生活保護法 による生活扶
    助以外の扶助その他の援助であって厚生労働省令で定めるものを受けるとき。
  ・ 地方税法に定める障害者であって、前年の所得が政令で定める額以下であるとき。
  ・ 地方税法に定める寡婦であって、前年の所得が前号に規定する政令で定める額
    以下であるとき。

 B 保険料を納付することが著しく困難である場合として天災その他の厚生労働省令
    で定める事由があるとき。

 
4分の1免除 (第90条の2第3項)
 


 
次の各号のいずれかに該当する被保険者等から申請があったときは、厚生労働大臣
 は、その指定する期間(申請全額免除、4分の3免除、半額免除、4分の1免除の適用
 を受ける期間又は学生等である期間若しくは学生等であつた期間を除く。)に係る保険
 料につき、既に納付されたものを除き、その4分の1を納付することを要しないものとし、
 申請のあった日以後、当該保険料に係る期間を保険料4分の1免除期間(追納が行わ
 れた場合にあっては、当該追納に係る期間を除く。)に算入することができる。
 ただし、世帯主又は配偶者のいずれかが次の各号のいずれにも該当しないときは、こ
 の限りでない。

 @ 前年の所得が、その者の扶養親族等の有無及び数に応じて、政令で定める額以
    下であるとき。

 A 次に該当するとき。
  ・ 被保険者又は被保険者の属する世帯の他の世帯員が生活保護法 による生活扶
    助以外の扶助その他の援助であって厚生労働省令で定めるものを受けるとき。
  ・ 地方税法に定める障害者であって、前年の所得が政令で定める額以下であるとき。
  ・ 地方税法に定める寡婦であって、前年の所得が前号に規定する政令で定める額
    以下であるとき。

 B 保険料を納付することが著しく困難である場合として天災その他の厚生労働省令
    で定める事由があるとき。

 
学生納付特例制度 (第90条の3)
 


 
次の各号のいずれかに該当する学生等である被保険者又は学生等であった被保険者
 等から申請があったときは、厚生労働大臣は、その指定する期間(学生等である期間
 又は学生等であった期間に限る。)に係る保険料につき、既に納付されたもの及び前
 納されたものを除き、これを納付することを要しないものとし、申請のあった日以後、
 当該保険料に係る期間を保険料全額免除期間(追納が行われた場合にあっては、当
 該追納に係る期間を除く。)に算入することができる。

 @ 前年の所得が、その者の扶養親族等の有無及び数に応じて、政令で定める額以
    下であるとき。

 A 次に該当するとき。
  ・ 被保険者又は被保険者の属する世帯の他の世帯員が生活保護法 による生活扶
    助以外の扶助その他の援助であって厚生労働省令で定めるものを受けるとき。
  ・ 地方税法に定める障害者であって、前年の所得が政令で定める額以下であるとき。
  ・ 地方税法に定める寡婦であって、前年の所得が前号に規定する政令で定める額
    以下であるとき。

 B 保険料を納付することが著しく困難である場合として天災その他の厚生労働省令
    で定める事由があるとき。

 
納付猶予制度(平成26年法附則第14条)
 


 
50歳に達する日の属する月の前月までの被保険者期間がある第1号被保険者等又
 は第1号被保険者であった者であって次の各号のいずれかに該当するものから申請
 があったときは、厚生労働大臣は、当該被保険者期間のうちその指定する期間(申請
 全額免除、4分の3免除、半額免除、4分の1免除の適用を受ける期間又は学生等で
 ある期間若しくは学生等であった期間を除く。)に係る国民年金の保険料については、
 既に納付されたもの及び前納されたものを除き、これを納付することを要しないものと
 し、申請のあった日以後、当該保険料に係る期間を保険料全額免除期間(追納が行
 われた場合にあっては、当該追納に係る期間を除く。)に算入することができる。
 ただし、配偶者が次の各号のいずれにも該当しないときは、この限りでない。

 @ 当該保険料を納付することを要しないものとすべき月の属する年の前年の所得
    (1月から厚生労働省令で定める月までの月分の保険料については、前々年の
    所得とする。)が、その者の所得税法に規定する控除対象配偶者及び扶養親族
    の有無及び数に応じて、政令で定める額以下であるとき。

 A 次に該当するとき。
  ・ 被保険者又は被保険者の属する世帯の他の世帯員が生活保護法による生活扶
    助以外の扶助その他の援助であって厚生労働省令で定めるものを受けるとき。
  ・ 地方税法に定める障害者であって、前年の所得が政令で定める額以下であるとき。
  ・ 地方税法に定める寡婦であって、前年の所得が前号に規定する政令で定める額
    以下であるとき。

 B 国民年金の保険料を納付することが著しく困難である場合として天災その他の厚
    生労働省令で定める事由があるとき。

 
産前産後期間免除(第88条の2)
 


 被保険者は、出産の予定日(厚生労働省令で定める場合にあっては、出産の日。
 第106条第1項及び第108条第2項において「出産予定日」という。)の属する月
 (以下この条において「出産予定月」という。)の前月(多胎妊娠の場合においては、
 3月前)から出産予定月の翌々月までの期間に係る保険料は、納付することを要し
 ない。

 
※厚生労働省令で定める場合
   (産前産後期間の保険料免除に関する)届出前に出産した場合とされる。

 

 参考


 ■ 生活保護の各種扶助と免除・納付猶予の関係

  ・ 生活扶助 → 法定免除

  ・ 生活扶助以外の扶助(住宅扶助・教育扶助・医療扶助・介護扶助・出産扶助・生業扶助・葬祭
   扶助) → 申請全額免除、4分の3免除、半額免除、4分の1免除、学生納付特例制度、若
           年者納付猶予制度

 ■ 承認基準における所得

 前年の所得金額(1月から6月分の保険料については、前々年の所得金額)が第1号被保険者の
 扶養親族等の有無とその数に応じて、次の計算式で計算した以下であるときに承認が受けられる。

  ・ 全額免除、納付猶予

   前年の所得金額≦35万円×(扶養親族等の数+1)+32万円

  ・ 4分の3免除

   前年の所得金額≦88万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等

  ・ 半額免除

   前年の所得金額≦128万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等

  ・ 4分の1免除

   前年の所得金額≦168万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等

  ・ 障害者、寡婦、ひとり親
  
   135万円


 過去問
平成23年 択一 問9A
 第1号被保険者(保険料の一部免除を受ける者を除く。)が保険料の法定免除に該当するに至
 ったときは、その該当するに至った日の属する月の前月からこれに該当しなくなる日の属する
 月までの期間に係る保険料は、既に納付されたもの及び前納されたものを除き、納付すること
 を要しない。
 
 (答え) × 
 「既に納付されたもの及び前納されたものを除き」ではなく、「既に納付されたものを除き」が正
 しい。前納されたものが、法定免除等に該当するに至ったときは、納付を要しないものである
 ことから還付される。
 
平成26年 択一 問10D(改題)
 第1号被保険者が平成29年4月11日に保険料全額免除を申請する場合には、保険料未納期
 間について平成27年3月分に遡って免除の申請を行うことができる。
 
 (答え) ○ 
 その通り。保険料の納付期限から2年を経過していない期間(申請時点から2年1か月前までの
 期間)について、さかのぼって免除等を申請できる。
 
平成23年 択一 問3E
 学生納付特例事務法人は、その教育施設の学生等である被保険者の委託を受けて、当該被保
 険者に係る学生納付特例の申請に関する事務及び保険料の納付に関する事務をすることがで
 きる。
 
 (答え) × 

 「申請に関する事務」はできるが、「保険料の納付に関する事務」はできない。

 
平成25年 択一 問5オ(改題)
 配偶者からの暴力を受けた第1号被保険者からの保険料の免除申請については、配偶者の所
 得は審査の対象としない。なお、「配偶者からの暴力」とは、配偶者からの暴力の防止及び被
 害者の保護に関する法律に規定するものをいう。
 
 (答え) ○  

 その通り。配偶者の所得は審査の対象とされない。

 
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