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労働保険の一般非常識!の部 −個別労働関係紛争解決促進法@−

 

今回は、労一のなかでも、もうそろそろ細かいとこが問われそうな個別労働関係紛争解決促進法について解説します。

文中の【 】で囲った部分は選択式、囲っていなくて色文字になってる箇所は択一で問われる可能性があります。背景を含めて解説しますので、択一対策としてもお役立てください。

さて、同法は、カンタンに言えば、労使の紛争処理を裁判によって解決するのではなく、所轄の【都道府県労働局長】に申し立てて、裁判外で紛争を解決するものです。
従前は、労使間で紛争が起こり当事者間で解決ができない場合は、裁判によって(裁判途中の和解はありえますが)解決を図るしかありませんでした。

このため、高額の裁判費用を支払い、解決までに数ヶ月〜数年をかけて争うという双方の、特に労働者側の心理的・金銭的負担で「泣き寝入り」する方が多くありました。
このような状況に鑑み、司法制度改革で実現した裁判外紛争処理(ADR)として個別労働関係紛争解決促進法が制定されるに至ったのが背景です。

同法では具体的に「あっせん」という処理を経て紛争解決していくわけですが、特定社会保険労務士はこの「あっせん」を代理する、いわゆる「あっせん代理」が認められています。
つまり労働者側又は使用者側のどちらか一方からあっせん代理人として依頼されたとき、その職務を遂行することができます。

【ポイント】
労働者側の代理人となった場合は、重ねて同事案について相手方の代理人となることはできません。事業主側の代理人となった場合も同様です。
労働関係調整法はあっせん・調停・仲裁を規定していますが、明確に分けて覚えてください。

また、あっせんというのは先ず【紛争当事者の自主的解決】を求めています。日本は米国のようになんでも裁判を起こすという風潮ではなく、訴訟を提起しても、その会社にそのまま留まる人はあまりいないようです。
不当解雇を争ったりする場合でも金銭的解決によることが多く、職場復帰を求めるといったもの以外はそのまま退職することが多いのが現状です。

これとは対照的に、あっせんは紛争を解決した後も継続して当該事業場で就労するという状況を意図して制定されています。紛争解決のスピードも速く、【紛争の実情に即し】て、【都道府県労働局長】への申し立てから解決まで平均して1月程度と【迅速かつ適正な解決】ができています。

ただし、あっせんはあくまでも紛争の当事者同士が同じテーブルについて積極的に話し合うことを前提としていますので、一方のあっせん申請に対して相手方が拒否したり、【あっせん委員会】から提示された【あっせん案】の受諾を拒否したりといった場合は、あっせんそのものが打ち切られます。

具体的には次の事由に該当する場合、あっせんが打ち切られます。
 (1)あっせん開始の通知を受けた被申請人が、あっせんの手続に参加する意思がない旨を表明したとき。
 (2)あっせん委員から提示されたあっせん案について、紛争当事者の一方又は双方が受諾しないとき。
 (3)紛争当事者の一方又は双方があっせんの打切りを申し出たとき。
 (4)関係労使からの意見聴取その他あっせんの手続の進行に関して紛争当事者間で意見が一致しないため、あっせんの手続の進行に支障があると認めるとき。
 (5)以上のほか、あっせんによっては紛争の解決の見込みがないと認めるとき。


今回は少し長めに法の成立の背景を含めて解説しましたが、何故制定されたのか?という成立趣旨を頭に入れておくことによって、条文暗記だけでは対応できない選択式の一般非常識対策として頂けると思います。

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